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    宿直業務の従業員に残業代は支払うべき?

    給与

    以下のようなご相談をいただきました。
     

    -事例-
    当社では、高齢者が共同で生活するグループホームを経営していて、 従業員が交代で宿直業務にあたっています。 ところが、従業員の一人から、宿直の残業代を請求されました。 支払わないといけないのでしょうか?

     
    宿直の残業代については定義から理解する必要があります。
    実際の給与を想定しながら順を追ってご説明いたします。

    残業代を支払わないようにするには、労働基準監督署長の許可が必要

    一口に宿直と言っても「夜勤」と「宿直」とがあり、それぞれ内容が異なります。
    まずは労働実情を確認して対応することが必要になります。
    整理をしてみましょう。
     
    夜勤とは
    通常業務をしている。日中の通常業務よりはゆとりがあるが、時間ごとにやることが決まっていたり、途切れずに問合せがあり対応が必要になるなどの業務です。
     
    宿直とは
    ほとんど労働することがなく待機している状態。労働の内容がとても薄い状態とも言えます。

    夜勤の場合

    通常の労働時間なので、通常の賃金と深夜割増(22時から5時までの間は、0.25増)の支払が必要になり、36協定でも通常の労働時間又は法定外労働時間のカウントの対象となります。
     
    例:
    時給者の場合(時給1000円で仮定)
    夜勤業務すると… 1000円×深夜割増0.25×深夜労働時間
    時間:労働時間に算入する
     
    月給者の場合(月給20万 月間所定労働時間160時間で仮定)
    夜勤業務すると… 20万円÷160時間×0.25×深夜労働時間
    時間:労働時間に算入する
     

    宿直の場合

    労働基準監督署の許可を取得する必要があります。
    許可を取得すると、通常の労働時間扱いとならないので、宿直手当の支給だけで良いことになります。
    宿直手当は、その業務に従事する者(複数いる場合は複数人)の1日平均賃金の3分の1以上の金額です。
    通常の労働時間ではないので、通常の労働時間又は法定外労働時間のカウントをしません。
    許可を取得していない宿直は夜勤と同じ扱いになります。
     
    例:
    許可を取得している場合
     勤務するのが30万円の人であれば、手当は、約3,333円でよくなる。
     労働時間に算入しないので、1日8時間以上宿直しても割増賃金なし。
     
    許可を取得していない場合
     夜勤と同じになり、通常の賃金と深夜割増(22時から5時までの間は、0.25増)の支払が必要、通常の労働時間又は法定外労働時間のカウントの対象となる。

    パターン1 許可を取得しないで、日勤をした夜に宿直をした場合

     日勤… 8時~17時の8時間(お昼1時間休憩含む)
     休憩… 17時~20時の1時間
     許可なし宿直… 20時~8時(待機しながら12時間)
     
    上記の労働時間集計
     日勤… 通常の労働時間= 8時間
     許可なし宿直… 8時間を超える時間外労働時間 =12時間(割増1.25)
             深夜時間=6時間(割増0.25)

    パターン2 許可を取得して、日勤をした夜に宿直した場合

     日勤… 8時間(通常の労働時間)         
     許可取得宿直… 0時間(宿直手当のみ)←労働時間に算入しない
     ※宿直手当は1日平均賃金の3分の1以上
     
    繰り返しになりますが、許可を取った宿直は、労働時間扱いになりませんので、労働基準法の休憩、休日、深夜の規程が適用されません。そのため、宿直の場合は会社側から従業員への残業代の支払い義務はありません。

    許可を取るために必要な条件と提出資料

    許可を得るためにはどのような条件が必要となりますか?

    1.通常の労働ではなく、ほとんど労働する必要がないこと
    定期巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可対象となります。

    2.宿直手当を支給すること
    宿直の勤務に就くことを予定されている労働者の支払われる賃金の1人1日平均額の3分の1以上の支給となります。

    3.1週間に1回を限度とすること

    4.仮眠室を整備すること
    通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであることや夜間に十分睡眠が取り得ることが必要なためです。 

    実際にはどのような資料の提出が必要ですか?

    許可申請に必要な主な資料は以下となります。

    ①断続的な宿直又は日直勤務許可申請補【様式第10号】
     
    ②対象労働者の労働の態様が分かる資料
    所定労働時間内におけるタイムスケジュール、対象業務の業務マニュアル、作業規定、業務日報等、巡回業務がある場合は、巡回経路を示す図面
     
    ③就業規則
     
    ④支払われるべき宿日直手当の最低額が分かる資料
    宿日直手当計算書、賃金台帳の写し
     
    ⑤勤務数が分かる資料
    シフト表(3カ月分)
     
    ⑥睡眠設備の概要が分かる資料
    睡眠場所の見取り図、写真
     
    ②の資料により、常態として、ほとんど労働をする必要のない勤務なのか確認します。
    ⑤の資料により、実際に過去3か月ほとんど労働をする必要がなかったか、確認します。

    許可取得までに要した期間(実際の当社経験)

    当社で実際に許可取得ために申請をさせて頂いた例です。
    手続きの流れとしては
     
    ■上記の資料の申請

    ■労基署立ち合い

    ■立ち合い当日に宿直を行う方のヒアリング

    ■追加資料の提出

    ■許可取得
     
    となります。
    許可取得まで、2か月くらいかかりました。

    取得に際してのポイント整理

    宿直の許可を取ることは労働時間削減や人件費削減において非常にメリットがあると考えられます。
     
    取得に際してのポイント整理
     1.宿直業務の内容が薄いこと(ほとんど寝ている、通常業務の延長ではない)
     2.通常の業務が発生してしまっても、その頻度が少ない、1回あたりの時間が短い
     
    ぜひ取得に際しご検討ください。
    取得申請にあたり、不安や疑問点がある事業主様はアーチスにぜひご相談ください。
    当社は関東圏だけでなく日本全国を対象に遠隔(Zoom等)による打ち合わせを行っておりますので、ご来所せずにご対応が可能です。



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神奈川県平塚市

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