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    最低賃金割れが発覚したら?企業に求められる緊急対応ガイド

    給与

    質問:
    当社の従業員に支払う賃金が、国の定める最低賃金を下回っていました。どのような問題があり、会社としてどのような対応が必要でしょうか?

     
    回答:
    従業員に支払う賃金が国の定める最低賃金を下回っている場合、それは労働基準法および最低賃金法に違反する重大な行為となり、企業には法的・社会的なリスクが生じます。
    最低賃金制度はすべての労働者に等しく適用され、違反すれば罰則の対象にもなり得るため、使用者には制度の理解と定期的な確認が不可欠です。
     
    本記事では、最低賃金制度の概要、企業が注意すべきポイント、違反時に発生するリスク、そして早期対応と予防策について、労務のプロがわかりやすく解説していきます。
     

    最低賃金制度とは?

    最低賃金とは、一言でいうと「国が法律で定めた、労働者に支払わなければならない賃金の最低額」のことです。
    この制度は、働く人(労働者)と雇う会社(使用者)が対等な立場で給料などを決めるといっても、実際には会社の方が立場が強くなりがちです。
    そこで交渉力が弱い労働者を守るために、国が「最低でもこれだけは払ってね」というルールとして定めているものです。
     
    この制度は正社員のみならず、パートタイマー、アルバイト、派遣社員、契約社員など、雇用形態を問わずすべての労働者に適用されます。
    また、年齢や性別、国籍、業種、勤続年数などによって差別されることはありません。
    例えば、高校生のアルバイトや研修中の新入社員にも適用され、「修行だから給料はいらない」「時給500円でいい」といった合意があったとしても、そのような契約は法律上無効となり、最低賃金額で合意したものと見なされます。
    つまり、どんな事情があっても、最低賃金以上の給料を支払う義務があるということです。
     
     

    例外もある

    ただし、著しい労働能力の低下が認められる精神・身体障害者などについては、労働局の許可を得ることで「減額特例許可制度」を活用することができます。
    しかし、許可なく勝手に減額することは法律違反なので注意が必要です。
    また、「労働契約」ではなく「請負契約」に基づいて仕事をしている個人事業主(例:フリーランスや一部のデリバリー配達員など)には、最低賃金法は適用されない点も重要です。

     

    使用者が特に注意すべきポイント

    会社を経営されている方、人事・労務を担当されている方は、以下の点に特に注意が必要です。

    1.最低賃金は毎年見直される

    最低賃金は、毎年1回見直しが行われ、多くの場合10月頃に改定されます。会社の給料のルール(賃金規程など)や、従業員との労働契約を見直さずにそのままにしていると、いつの間にか最低賃金を下回ってしまう可能性があります。
    ですから、毎年改定後の最低賃金が公表されたら、必ずチェックし、会社の給料が新しい最低賃金を下回っていないかを確認しなければなりません。もし下回っている場合は、新しい最低賃金が適用される日までに、給料を最低賃金以上に引き上げる必要があります。

    2.最低賃金の対象となる賃金の範囲

    従業員に支払っている給料が最低賃金を上回っているかを確認する際には、給料のすべてが含まれるわけではありません。
    最低賃金の対象となるのは、毎月支払われる基本的な賃金です。
    具体的には、基本給や一部の手当(精皆勤手当、通勤手当、家族手当などを除く)が含まれます。
     
    一方で、以下のような項目は最低賃金の計算には原則として含めません。
     
    ・臨時に支払われるお祝い金のようなもの
    ・ボーナス(賞与)
    ・残業手当
    ・深夜手当
    ・通勤手当
    ・精勤手当
    ・家族手当 など
     
    例えば、時給で働いている人の場合は「時給」そのもの、月給で働いている人の場合は「月給÷1ヶ月の平均的な所定労働時間」で計算した1時間あたりの金額 と、その都道府県で定められている最低賃金(時間額)を比べて確認します。

    3.複数の事業場がある場合

    もし、会社が複数の都道府県に事業場(事務所や店舗など)を持っている場合、事業場ごとに、その場所がある都道府県の最低賃金が適用されます。
    したがって、複数の都道府県に支店・営業所を展開している企業では、それぞれの地域の最低賃金に従って判断しなければなりません。
    会社の「本店」がある都道府県の最低賃金だけを見るのはNGです。

    4.派遣労働者の場合の適用

    派遣社員の場合、適用される最低賃金は「派遣元」ではなく、実際に働く「派遣先」の所在地の最低賃金となります。
     

    最低賃金を下回ると発生するリスク

    【法律違反】法的制裁と行政指導
    最低賃金法に違反すると、50万円以下の罰金が科される可能性があり、労働基準監督署から是正勧告を受けることもあります。悪質な場合には刑事告発や企業名の公表につながることもあります。
     
    【損害請求】従業員とのトラブルに
    賃金が最低賃金を下回っていた場合、従業員から差額の支払いを請求されるリスクがあります。未払いが3年以上続いていれば、過去3年分の差額と遅延損害金を支払わなければならない可能性も高くなります。
     
    【信用失墜】採用・事業への悪影響
    労務管理が不適切な企業との評判が広がることで、取引先や顧客からの信用を失い、企業ブランドにも悪影響を及ぼします。人材採用にも深刻な支障が出るおそれがあります。

     

    違反が判明した場合の対応と予防策

    違反がわかったらどうする?(初動対応)

    会社の給料が最低賃金を下回っていた場合は、すぐに対応することがとても大切です。
    まずは、「いつから」「どの従業員に」「どれだけ」足りなかったのかを正確に調べましょう。
    その際、最低賃金に含めてよい手当と、含めてはいけない手当をしっかり分けて計算することが必要です。
    また、過去3年分の未払い賃金について確認し、不足していた分は全額支払わなければなりません。
    未払いの賃金は、原則として3年間さかのぼって請求できるからです。
    さらに、今後同じミスを防ぐために、就業規則や賃金規程など、給料に関するルールを見直しましょう。
    最低賃金が毎年変わっても、きちんと対応できる仕組みを整えておくことが大切です。

     

    未然に防ぐ予防策

    最低賃金を守るためには、日ごろからのチェックと情報共有がとても大切です。以下のような対策が効果的です。
     
    毎年、最低賃金の改定を必ず確認する
    最低賃金は毎年見直されています。厚生労働省や都道府県労働局のホームページで最新の金額をチェックする習慣をつけましょう。
     
    社内で給料チェックの仕組みを作る
    定期的に、従業員に支払っている賃金が最低賃金を下回っていないかを確認する内部監査を行い、問題があれば早く直せるようにしましょう。
     
    従業員にも最低賃金の情報を伝える
    最低賃金のことを従業員と共有しておくことで、「自分の給料は大丈夫かな?」と気づくきっかけになり、早めに問題を発見できる可能性が高まります。

     

    最低賃金は企業の信頼を守るルール

    最低賃金制度は、すべての企業が遵守すべき最低限のルールであり、これを守ることは企業としての信頼性や社会的責任を果たすうえでも非常に重要です。
    違反が発覚した場合、法的な罰則や経済的損失だけでなく、従業員の士気低下や企業ブランドの毀損といった深刻な二次被害にもつながります。
     
    しかし、毎年の改定に注意を払い、就業規則や給与計算の仕組みを整備することで、これらのリスクは未然に防ぐことができます。
    また、従業員にとっても安心して働ける環境づくりにつながり、企業の魅力や定着率の向上にも寄与します。
     
    社労士法人アーチスでは、最低賃金の遵守状況の確認、給与体系の見直し、労務リスクの診断など、貴社の労務管理体制を総合的にサポートいたします。
    「うちは大丈夫だろう」と思っていたら、いつの間にか違反状態に――。
     
    そんな事態を防ぐためにも、専門家の視点で現状を点検してみませんか?
    些細な疑問でも結構ですので、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。
     
     
     



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