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    【休職制度とは】遅刻や欠勤を繰り返す社員に休職を命じても良い?

    就業規則

    質問:
    当社の従業員で、遅刻や欠勤を繰り返す社員がいます。
    メンタル疾患が疑われるので、休職を命じようと思いますが、注意点はありますか?

     
    回答:
    最近では、メンタルヘルスの不調による遅刻や欠勤が増加しており、多くの企業が対応に悩んでいます。
    経営者としては、業務の継続に支障をきたす従業員に対して、休職を命じることで職場の環境を守りたいと考えるのは当然のことです。
    しかし、休職を命じる際には、労働基準法や就業規則に基づいた適切な手続きと、従業員の権利に配慮した対応が必要です。
     
    本記事では、休職命令を適切に進めるためのポイントや注意点について、詳しく解説していきます。

    休職制度とは?

    休職とは、従業員が病気やけが、またはその他の理由により、業務を遂行することが困難になった場合に、労働契約は維持したまま、一定期間労務の提供を免除する制度です。
    このような休職制度を定めるかどうかは自由ですが、制度を定める場合には就業規則に以下の内容を定めましょう。
     

    休職制度を導入する場合のポイント

    休職制度を設ける場合、就業規則に以下の点を明記することが望ましいです。
     
    1.休職の種類(病気休職、事故休職、私傷病休職など)
    2.休職の事由(どのような状況で休職を命じるか)
    3.休職期間の設定(最大○ヶ月などの期間制限)
    4.休職中の取り扱い(有給・無給、社会保険の継続可否)
    5.復職時の手続き(復職条件や必要な診断書の提出)
    6.休職期間満了後の対応(復職できない場合の取り扱い)

    病気休職について

    休職制度の一つの理由に病気休職が挙げられます。
    本来、労働者が在職中に業務外の事情で負傷あるいは疾病に罹患した場合、それによって労務の提供が不能や不完全となれば、労働者は労務提供義務の不履行となり、解雇の理由になり得ます。
    しかし、企業が休職制度を設けている場合、一定期間(休職期間)は解雇を猶予し、従業員が治療に専念できる環境を整えることが可能になります。
    一方、業務中に発生した負傷や疾病については、労災保険の適用対象となります。
    これは、業務上のリスクに対する企業の責任を明確にするものであり、休職制度とは異なる制度によって支援が行われます。
     
    近年、職場においてはメンタルヘルスの問題が大きな課題となっており、心身の健康を理由に休職を申請するケースが増加しています。
    当社に寄せられた事例の中には、慢性的な腰痛の悪化、家庭内の問題(例えば離婚による精神的ストレス)、昇進や役職就任による過度なプレッシャーなど、さまざまな要因が影響しているケースが見受けられます。
    これらは年齢や経験に関係なく、若手からベテラン社員まで誰にでも起こり得る問題であり、企業として適切に対応することが求められます。

    休職命令を出す際の法的基盤と条件

    休職を命じる際の法的基盤

    休職制度は、労働基準法などで義務付けられたものではなく、各企業が自主的に導入するものです。
    そのため、就業規則に休職制度の詳細が記載されていない場合、従業員に休職を命じることはできません。

    休職を命じる一般的な条件

    休職を命じるには、以下のような客観的な条件を満たす必要があります。
     
    医師の診断書により、業務遂行が困難であることが確認される
    企業側の判断だけで「メンタル不調が疑われる」として休職を命じることはできません。必ず医師の診断を受ける必要があります。
     
    業務を継続することで本人や職場の安全が損なわれる可能性がある場合
    企業には「安全配慮義務」があり、従業員が健康を害した状態で業務を続けることで、さらなる悪化を招く可能性がある場合は、本人が大丈夫だと言っていても休職を命じることが適切です。

    休職を命じる際の手続き

    医師の診断書を取得

    休職を命じる前に、従業員に医師の診断を受けてもらい、診断書を提出してもらいましょう。
     
    診断書には以下の情報が含まれている必要があります。
     
    •症状と治療に要する期間
    •就業継続が困難である旨の記載
    診断書を取得することで、休職命令の客観的な正当性が担保されます。
     

    就業規則に基づく通知(書面推奨)

    休職命令を出す場合は、就業規則に基づき必ず書面で通知し、理由・期間・手続きを明確に伝えます。
    口頭のみの指示では、後のトラブルに発展する可能性がありますので、書面での通知を強くお勧めします。
     

    従業員への説明と同意

    会社が従業員に休職を命じる場合、それが本人の意思に反するものであれば、思わぬトラブルに発展する可能性があります。
    そのため、休職を命じる理由や目的を明確にし、会社としてどのようなサポートを提供できるのかを、丁寧に説明することが大切です。
    従業員の理解を得るためにも、一方的な指示ではなく、納得感を持ってもらえるような対応を心がけましょう。
     
    また、この場面においても、会社には従業員の安全や健康に配慮する義務(安全配慮義務)があることを説明し、休職命令が従業員の健康と職場環境を守るための措置であることを伝えることが重要です。
    誠実で分かりやすい説明を行うことで、従業員の不安を軽減し、円滑な対応につなげることができます。

    休職中の給付について対応すべきポイント

    休職中の従業員に対し、企業が会社がすべき業務や従業員とのコミュニケーションのポイントは以下となります。

    休職中の給与や補償について

    休職期間中の給与に関しては、「ノーワーク・ノーペイ(働かなければ賃金は発生しない)」の原則に基づき、会社が支払う義務はありません。
    しかし、従業員が社会保険に加入している場合、一定の条件を満たせば健康保険の傷病手当金を受給することができます。
     
    〜傷病手当金の支給要件〜
    ・連続して3日間休業した後、4日目以降も就労が困難な場合
    ・最長1年6ヶ月間にわたり、標準報酬日額の2/3が支給される
    ・退職後も受給可能(被保険者期間が1年以上あり、支給要件を満たしている場合)
     
    特に、「退職すると傷病手当金を受給できない」と誤解している方も多いですが、一定の条件を満たしていれば退職後も継続して受給可能です。
    従業員からの問い合わせに備え、適切な説明ができるようにしておきましょう。
     

    休職中の従業員との定期的な連絡

    休職中の従業員に対しては、定期的に連絡を取り、現在の状況や復職の見込みについて確認することが大切です。
    なかには、休職後にまったく連絡を取らなくなる従業員もいますが、企業側から適宜連絡を取り、状況を把握することが必要です。具体的には、以下のような点を確認するとよいでしょう。
     
    ・体調や治療の進捗
    ・復職の見通しや希望する働き方
    ・会社が提供できるサポート(リハビリ勤務、業務内容の調整 など)
     
    従業員の復職を円滑に進めるためにも、無理のない範囲で連絡を取り、状況に応じた対応を心がけましょう。
     

    休職期間の設定と復職の手続き

    休職中の従業員に対し、企業が会社がすべき業務や従業員とのコミュニケーションのポイントは以下となります。

    休職中の給与や補償について

    休職期間の設定

    休職期間は、就業規則で明確に定めておくことが不可欠です。
    一般的には最長3~6ヶ月とするケースが多く、状況に応じて延長を認める場合もあります。
     

    休職期間終了後の対応

    休職期間が満了した際は、従業員の状況に応じて適切な対応を取ることが必要です。
    主に以下の2つのケースが考えられます。
     
    ①復職する場合:
    医師の診断書を基に、従業員の健康状態や業務遂行の可否を確認し、無理のない形で復帰を進めます。
     
    ②復職が難しい場合:
    治療が長引き、休職満了後も業務に復帰できない場合、休職満了による自然退職となることがあります。この場合、会社は適切な通知を行い、円滑な対応を心がけることが重要です。
    休職満了後の対応については、就業規則に記載し、従業員へ事前に説明することで、後のトラブルを防ぐことができます。
     

    復職計画の作成

    従業員がスムーズに職場復帰できるよう、段階的な復職プランを策定することが望ましいです。
     
    〜復職支援の具体策〜
    ・短時間勤務や業務内容の調整を検討し、負担を軽減する
    ・復職前に面談を実施し、不安を解消する
    ・必要に応じて、定期的なフォローアップを行う
     
    急なフルタイム勤務が負担になることもあるため、個々の状況に応じた柔軟な対応を心がけましょう。
     

    休職における注意点

    休職制度を適切に運用するためには、以下の点にも十分留意する必要があります。
     

    安全配慮義務の履行

    従業員が安全かつ健康的に働ける環境を整えることは、企業の義務です。
    復職後の業務負担が過度にならないよう配慮し、必要に応じて勤務条件を調整しましょう。
     

    差別的取扱いの禁止

    休職を理由に、不当な扱いをすることは労働契約法違反となります。
    休職前と同じ条件で復職できるよう努め、万が一配置転換が必要な場合は、本人と十分に話し合い、合理的な範囲で決定しましょう。
     

    不当な休職命令のリスク

    業務に支障がないにもかかわらず休職を一方的に命じることは、違法行為となる可能性があります。
    休職命令を下す際は、医師の診断書や客観的な事実に基づいて判断し、休職を強制せず、従業員の意思も尊重する姿勢を持ちましょう。

    休職制度の実務対応まとめ

    適切な休職制度の運用は、以下の4つのポイントを押さえましょう。
     

    1. 就業規則の整備

    休職の理由や手続き、期間を就業規則に明確に記載します。
    休職制度の運用基準を定め、従業員にも分かりやすく周知しましょう。
     

    2. 従業員への説明

    休職の必要性を丁寧に説明し、書面で通知を行います。
    休職に関する通知書や関連資料を適切に作成・管理することを忘れずに。
     

    3. 休職中の手続き

    傷病手当金の申請手続きについて案内し、従業員が適切なサポートを受けられるよう努めます。
    休職中も定期的に連絡を取り、状況の確認や復職の見通しを把握しましょう。
     

    4. 復職時の対応

    復帰不可の場合は、満了通知の発行と退職手続きを進めます。
    復職可能な場合は、段階的な復職プランを作成し、無理なく職場復帰できるよう支援しましょう。
     
    適切な休職制度を整えることで、従業員が安心して治療や療養に専念できる環境を提供し、職場全体の信頼関係を築くことにつながります。
    休職制度を適正に運用し、円滑な復職支援を実施することで、企業と従業員の双方にとって最善の結果を生み出しましょう。

    【全国対応】適正な運用には専門的な知識を

    休職制度の設計や運用には、労働基準法、労働契約法、社会保険制度など、さまざまな法律や規則が関係してきます。
    そのため、企業が独自に判断すると、意図せず法的リスクを抱えてしまうケースも少なくありません。
     
    ・適切な休職期間の設定方法は?
    ・従業員への説明や同意の取り方は?
    ・復職の際に企業側が配慮すべきポイントは?
    ・傷病手当金などの手続きについて正しく理解しているか?
     
    これらの疑問や課題に対して、私たち社労士は、法的リスクを回避しながら、企業と従業員の双方にとって最適な休職制度の設計・運用をサポートします。
     

    全国対応!オンライン相談も可能です

    アーチスでは、全国の企業様に向けてオンライン相談を含む柔軟なサポートを提供しております。
     
    ・休職制度の設計・見直し
    ・就業規則の整備と改定
    ・休職に関する労使トラブルの未然防止策
    ・従業員への説明の仕方や手続きの支援
     
    などなど、直接ご来所いただかなくても、Zoomやメール、電話でのご相談が可能です。
    企業の実態に合わせたオーダーメイドの対応を行い、スムーズな休職制度の導入・運用をお手伝いします。

    「こんなとき、どうすればいい?」社労士にご相談ください

     
    「休職期間を設定したいけど、どのくらいが適切?」
    「復職できるかどうかの判断基準を明確にしたい」
    「従業員が休職中、企業側に求められる対応は?」
     
    このようなお悩みがある場合は、ぜひ一度専門家である社労士にご相談ください!
    アーチスでは、経営者の皆さまが安心して事業運営できるよう、労務に関する整備をトータルでサポートいたします。
      



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