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    【事業者向け】従業員の健康診断は義務!間違えやすいポイントも解説

    健康診断

    健康診断は、会社で雇用する社員に対して労働安全衛生法によって実施が義務づけられている、非常に重要なものです。
    昨今は、長時間労働や社内外でのトラブル等が原因で心身に支障をきたす社員が多く、深刻な社会問題となっている案件も多くみられます。
     
    そこで、今回は事業者様にとって参考になるよう、
    ・法律で定められている健康診断の内容や詳しい項目
    ・実施が必要な社員の要件
    ・健康診断を会社で実施するにあたり注意しなければならないポイント
    について、労務のプロフェッショナルであるアーチスが順を追って解説をしていきます。

    会社で行う健康診断とは?

    会社で社員に対して実施しなければならないと定められている健康診断。
    その用途や種類ごとに以下の内容に分けられています。
     

    ■雇入れ時の健康診断
    ■定期健康診断
    ■特定業務従事者の健康診断
    ■海外派遣労働者の健康診断
    ■給食従業員の検便

     
    順に見ていきましょう。

    雇入れ時の健康診断

    社員を新たに雇用した際に実施することが義務づけられている健診のことで、以下の項目が診断項目として設定されています。

     

    1. 既往歴及び業務歴の調査
    2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
    3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
    4. 胸部エックス線検査
    5. 血圧の測定
    6. 貧血検査 (赤血球数、血色素量)
    7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
    8. 血中脂質検査(LDL コレステロール、HDL コレステロール、血清トリグリセライド)
    9. 血糖検査
    10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
    11. 心電図検査(安静時心電図検査)

     

    定期健康診断

    1年以内の定期的な期間ごとに1度、定期的に実施することが義務づけられている健診のことです。
    雇入れ時の健康診断の場合と同じく、以下の項目が診断項目として設定されています。
     

    1. 既往歴及び業務歴の調査
    2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
    3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
    4. 胸部エックス線検査
    5. 血圧の測定
    6. 貧血検査 (赤血球数、血色素量)
    7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
    8. 血中脂質検査(LDL コレステロール、HDL コレステロール、血清トリグリセライド)
    9. 血糖検査
    10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
    11. 心電図検査(安静時心電図検査)

     

    特定業務従事者の健康診断

    国が指定する対象業務に常時携わっている者に対して、半年以内の定期的な期間ごとに1度定期的に、または対象業務へ配置転換が行われた場合に実施することが義務づけられている健診のことです。
    対象業務には、著しく暑いまたは寒い場所での業務や放射線などの有害放射線にさらされる中での業務、じんあいや粉末がひどく飛散する中での業務、坑内業務、深夜業を含む業務など、社員の身体に悪影響をおよぼす可能性がある中で従事する業務が挙げられます。
    特定業務従事者の健康診断では、以下の項目が診断項目として設定されています。

     

    1. 既往歴及び業務歴の調査
    2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
    3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
    4. 胸部エックス線検査及び喀痰(かくたん)検査
    5. 血圧の測定
    6. 貧血検査(赤血球数、血色素量)
    7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
    8. 血中脂質検査(LDL コレステロール、HDL コレステロール、血清トリグリセライド)
    9. 血糖検査
    10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
    11. 心電図検査(安静時心電図検査)

     

    海外派遣労働者の健康診断

    海外へ半年以上労働者を派遣する際には、前もって実施することが義務づけられている健診のことです。
    海外勤務後に帰国した労働者を国内で業務に従事させる際にも実施しなければなりません。
    以下の項目が診断項目として設定されています。
     

    1. 既往歴及び業務歴の調査
    2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
    3. 身長(医師の判断により省略可能)、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
    4. 胸部エックス線検査及び喀痰(かくたん)検査(医師の判断により省略可能)
    5. 血圧の測定
    6. 貧血検査(血色素及び赤血球数)
    7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
    8. 血中脂質検査(LDL、HDL、中性脂肪)
    9. 血糖検査
    10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
    11. 心電図検査(安静時心電図検査)

     
    さらに、医師が必要と判断した場合は実施することが求められている項目は以下の通りです。
     

    12. 腹部超音波検査
    13. 尿酸値
    14. B型肝炎ウイルス抗体検査
    15. 血液型検査(ABO式、Rh式)(派遣前に限る)
    16. 糞便塗抹検査(帰国時に限る)

     

    給食従業員の検便

    調理員など、食堂や炊事場で給食業務に携わる者について、新たに雇用した場合や配置転換が行われた場合は、検便を実施しなければなりません。

    健康診断項目は省略できるの?

    先述の健康診断項目は、状況に応じて省略できるケースがあります。
     
    ■身長…20歳以上の者
     
    ■胸部エックス線検査…40歳未満で、以下①~③のいずれにも該当しない者
    ①20歳、25歳、30歳、35歳の者
    ②結核に係る定期健康診断の対象とされている施設等(学校、病院、介護老人保健施設、特定の社会福祉施設等)の労働者
    ③3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている者
    喀痰検査:胸部エックス線検査により病変が発見されない者
         胸部エックス線検査により結核発病の恐れがないと診断された者
         胸部エックス線検査の省略基準に該当する者
     
    ■6.貧血検査~9.血糖検査、11.心電図検査:40歳未満の者(35歳の者を除外)
     
    ■腹囲:40歳未満の者(35 歳の者を除外)
       妊娠中の女性等、腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと判断された者
       BMI20未満である者
       BMI 22未満で、腹囲を自己測定し申告した者
     

    省略できるケース2:特定業務従事者の健康診断

    特定業務従事者の健康診断の場合、前回の健診において「6.貧血検査~9.血糖検査、11.心電図検査」の項目を受診した場合は、医師の判断において省略することが可能です。
    また、以下の項目についても、厚生労働省が定める基準に応じて、医師が必要ないと判断した場合は省略をすることができます。
     

    省略できる項目:
    3. 身長(医師の判断により省略可能)、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
    4. 胸部エックス線検査及び喀痰(かくたん)検査(医師の判断により省略可能)
    6. 貧血検査(血色素及び赤血球数)
    7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
    8. 血中脂質検査(LDL、HDL、中性脂肪)
    9. 血糖検査
    10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)

     
    さらに、雇入れ時の健康診断、海外派遣労働者の健康診断、有害業務従事者に対する健康診断を実施して半年以内の者は、実施項目を省略することが可能です。

    健康診断が必要となる労働者とは?

    雇入れ時の健康診断、定期健康診断の実施対象となるのは「常時使用する労働者」です。
    これはフルタイムの正社員に加え、以下の要件に該当するパート労働者も対象として含まれます。
     
    ①1週間あたりの労働時間数が正社員の所定労働時間数の4分の3以上である者 かつ
    ②無期雇用者 または
    ③1年以上の雇用が予定されている、または雇用している有期雇用者
     
    ただし、①の要件である4分の3に満たない者であっても、②または③に該当し、1週間あたりの労働時間数が正社員の所定労働時間数の2分の1以上である者については、検診の対象者とするのが望ましいとされています。

    事業者側が健康診断実施において注意すべき点

    会社で健康診断を実施する際には、以下の点に気をつける必要があります。
    間違えやすい部分なのでご注意ください。

    健診結果の記録保存・労働者への通知

    労働者の健診結果については、個人票を作成した上で一定期間の保存が必要です。また、健診の結果については、労働者へ通知することが義務づけられています。

    健診結果を受けた医師の意見聴取・実施後の措置

    健診結果を受け、異常の所見がみられる労働者については、健康保持のための措置として医師の意見を聴収しなければなりません。また、必要とされる場合は、配置転換や労働時間の短縮などの措置を講じる必要があります。

    健診結果を受けた保健指導

    健診結果を受け、特に健康の保持に勤める必要がある労働者については、医師や保健師などの保健指導を実施するよう努めなければなりません。

    労働基準監督署への報告

    常時50人以上の労働者を使用する会社や、特殊検診を実施した会社は、健診の結果を所轄の労働基準監督署長宛に提出することが義務づけられています。

    社員の健康診断結果の管理はどこまで?

    昨今は、個人情報保護法に基づくプライバシーの侵害に関するさまざまな問題が顕著化しているため、会社が社員の健診結果を把握しても良いのか不安に思うこともあるでしょう。
     
    会社には、労働者に対する健康診断の実施に加え、診断結果に応じた措置を講じることや、健康診断個人票の作成・保存が求められます。
    したがって、会社側が社員の健康診断結果を入手し、管理をすること自体は認められています。
     
    ただし、会社宛に本人以外は開封しないよう「親展」扱いで健診結果が届く場合などは、本人を除き開封することはできません。また、入手した社員の健診結果の情報については秘密保持義務が発生し、他言無用とされている点に注意しましょう。

    健康診断でわからないことはアーチスまで

    会社で実施しなければならない健康診断の内容についてお分かりいただけましたでしょうか。
    昨今は、社員の心身を守るための法改正が続いており、社員の健康診断についてもさまざまなルールがあります。
    詳しくは、ぜひ労務管理の専門家である当社へご相談ください。



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