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    2022年施行の「改正育児休業法」とは?ポイントや対応法を解説【後編】

    前々回、前回と2回に渡り説明をさせて頂きました通り、2021年に育児・介護休業法が大きく改正され、2022年より随時施行が開始されています。
     
    前編はこちら↓
    「2022年施行の「改正育児休業法」とは?ポイントや対応法を解説【前編】」
     
    中編はこちら↓
    「2022年施行の「改正育児休業法」とは?ポイントや対応法を解説【中編】」
     

    前々回は、育児休業のおさらいとして、主な概要について解説をしました。
    そして前回は、法改正が実施されるまでの背景や、2022年4月1日に施行が開始された法改正の内容2つについて説明をしました。
     
    3回目の今回は、2022年10月以降に施行が行われる法改正の内容について詳しく解説をしていきます。
    ボリュームたっぷりの内容になりますが、一つずつ確実に理解をしながら読み進めてみてくださいね。

    法改正の具体的な内容とは?

    ここからは、2022年10月以降に施行が開始された法改正の具体的な内容について順に見ていきましょう。

    出生時育児休業(産後パパ育休)の創設(2022年10月1日施行)

    今回の法改正で最も大きな制度の一つである「産後パパ育休制度」。
    昨今はさまざまなメディアでも取り上げられていますので、一度は耳にしたことがあるかもしれません。
    以前と比較すると、育児休業の取得について前向きに検討する男性社員は増加しつつありますが、それでも女性の育児休業取得率と比較すると、男性の取得率はかなり低い水準にあることが現状です。
    産後パパ育休制度を導入することのメリットとしては、出産直後でまだ子供との生活スタイルが安定していない状況で男性が育児に参加する環境が整うことで、女性社員が出産後も安心して働き続けることができるようになります。
    その結果、夫婦がともに育児に関わるという家庭の結束を高める効果が期待できます。

    ①産後パパ育休制度とは

    産後パパ育休制度は、子供が産まれた直後の8週間、つまり出産した女性労働者が取得する産後休業期間中に、4週間まで取得することができる休業制度です。

    この休業は2回に分割して取得することが可能なため、例えば妻が出産した直後にいったん休業を取得し、その後に職場復帰をした上で改めて休業を取得するという方法が認められます。
    分割取得が認められることで、育児と仕事生活を両立させたいと考える男性社員が自身の生活スタイルにあわせて取得スケジュールを組むことが可能になるでしょう。

    ②産後パパ育休の申し出期間

    なお、産後パパ育休の申し出は通常の育児休業制度の場合とは異なり、休業開始までに「まとめて」申し出ることが原則となっています。まとめての申し出がなかった場合は、会社側は後で申し出た休業に関して拒否することが認められている点に注意が必要です。
    申し出の期限は、産後パパ育休開始の2週間前までになります。ただし、下記3項目の内容について労使協定を締結していれば、1ヶ月前までに変更することが認められています。
     

    ①以下の対応のうち、2つ以上を実施するための措置を講じる

    ・育児休業・産後パパ育休に関する研修を実施すること
    ・育児休業・産後パパ育休に関する相談体制を整備すること
    ・自社の育児休業・産後パパ育休取得事例を収集・提供すること
    ・自社の育児休業・産後パパ育休制度や育児休業取得促進に関する方針を周知すること
    ・申出をした労働者の育児休業・産後パパ育休の取得が円滑に行われるよう、
    業務配分や人員配置に関する必要な措置を講じること

    ②育児休業・産後パパ育休取得に関する定量的な目標を定め、取得促進に関する方針を周知する
     
    ③育児休業・産後パパ育休申出に関する労働者の取得意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握するための取組を行う

    ③パパ休暇・育児休業との違い

    パパ休暇は、産後8週間以内に育児休業を取得した男性社員に対し、後に再度育児休業の取得が認められるという制度です。今回の法改正により産後パパ育休制度が導入されたことで廃止されました。
    また、産後パパ育休と通常の育児休業とは全く異なる別の存在となります。
    つまり、産後パパ育休制度を活用して休業を取得した男性社員でも、後ほど通常の育児休業の取得が可能になります。

    育児休業の分割取得(2022年10月1日施行)

    改正前の場合、育児休業の取得回数は子供1人(多胎妊娠の場合も1人とカウントする)あたり1回が原則で、介護休業のように分割取得が認められていませんでした。
    そして、育児休業を延長するタイミングも、子供が1歳、1歳6ヶ月、2歳を迎える時期に限られており、育児と仕事を両立するために柔軟性をもたせた活用ができなかったという懸念点がありました。
     
    そこで今回の法改正では、育児休業が2回までに分割して取得することが可能になりました。
    分割取得が認められるため、両親がともに交代で育児休業を取得でき、これまで以上に家庭全体で連携を取りながら育児・仕事を行う体制が実現します。
    特に男性社員の場合、前述の産後パパ育休制度を活用することで、産後の育児に関する休業を最大で4分割して取得できるのです。

    育児休業の取得状況の公表が義務化(2023年4月1日施行)

    従業員数が1000人を超える大規模な企業に対して、年に一度のタイミングで育児休業等(産後パパ育休・育児休業)の取得状況を公表することが義務化されます。
    具体的な公表内容は、「男性の育児休業等の取得率」もしくは「育児休業等・育児目的の休暇取得率」になります。
    この制度からは、大企業の男性育児休業取得状況を広く公表することで、他の企業へ取得率向上をはかるという狙いがみられます。
    取得状況の公表を適切に実施しない企業に対しては、勧告や企業名の公表が実行される可能性があるため注意が必要です。

    職場体制整備で長く安心して働ける環境に。アーチスがお手伝いします

    育児休業法の改正について3部に分けてお伝えしてきましたが、概要についてお分かりいただけましたでしょうか?
    これからは、男女ともに安心して育児休業の取得ができるような環境づくりが必須であり、そのための制度確立が各企業に求められます。
    まずは、社内体制を見直した上で、今後育児休業を取得する予定の社員を洗い出してみてはいかがでしょうか。
    男女ともに働きやすい環境を整えていくことは確かに簡単ではありません。
    しかしどの企業も採用について頭を抱えている昨今、長く安心して働ける職場は大切な人材の流出を抑え、長い目で見るとプラスのサイクルを生み出すはずです。
    具体的な整備方法については、ぜひ労務管理の専門家であるアーチスへご相談ください。
    個別にヒアリングし、御社の課題に合った解決策、ご提案をいたします。



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