2021年に育児・介護休業法が大きく改正されました。
この改正では、今まで以上に育児休業や介護休業の取得がしやすいようにルールが変更されたほか、男性社員の育児休業取得をより促進させるための制度、休業を取りやすい職場づくりを促進させるための制度など、重要な内容が数多く盛り込まれています。
この記事の目次
今回は、そのうち「育児休業」にスポットを当て、改正内容の詳しい内容や企業側で行わなければならない対応法などを順に解説していきます。
ボリュームが多いので前編、中編、後編に分けてお送りします。
前編である今回は、そもそも育児休業制度とはどのような内容なのかを再認識してもらうためにも、法改正前の概要をおさらいしていきましょう。
そもそも「育児・介護休業法」とはどのような内容が定められている法律なのでしょうか?
育児・介護休業法は、育児や介護を行いながら働いている労働者が、仕事生活とプライベートな生活を両立させることができるようなサポート制度が定められている法律です。
今回ピックアップをする「育児休業法」にまつわる基本的な制度内容について、順を追って見ていきましょう。
育児休業は、子を育てる労働者が会社側へ申し出ることで取得することができる休業のことです。
育児休業が可能となる期間は、子が1歳を迎えるまでの期間が原則です。
しかし、最近は両親が共働きの世帯が増加しており、保育園の預け先が見つからないケースが少なくありません。このような事情がある場合は、子が1歳半になるまでの期間を延長することができます。
その上で、さらに子が1歳半を迎えても預け先が無い等で状況が変わらない場合などは、再申請をすれば子が2歳を迎えるまでの期間まで育児休業を取得することができます。
育児休業制度を利用できる対象者は、雇用保険に加入している労働者のうち日雇い雇用者を除く者です。なお、有期雇用者の場合は入社1年以上が経過しており、子が企業で定める育児休業期間(子が1歳半もしくは2歳を迎える日まで)に雇用契約が終了しない者が対象となります。
また、社内で労使協定を締結すれば、以下の者を制度の対象外とすることができます。
・継続して雇用されている期間が1年に満たない者
・1年以内(社内制度によっては子が1歳半もしくは2歳を迎える日まで)に退職する予定がある者
・1週間あたりの出勤日が2日以下の者
パパ・ママ育休プラス制度とは、両親がそろって育児休業を取得することで、育児休業の期間を「子が1歳2ヶ月になるまで」延長することができるという、2010年に開始された特例制度です。
これまでは母親が主流だった育児休業を父親も取得することで、両親がともに子育てに関わることを目指して制定されました。
パパ・ママ育休プラスを利用することができる要件は以下の通りです。
・配偶者が、子が1歳を迎えるまでの期間に育児休業を取得していること
・労働者本人の育児休業開始予定日が、子が1歳を迎える誕生日以前であること
・労働者本人の育児休業開始予定日が、配偶者の育児休業初日以降であること
なお、パパ・ママ育休プラスは、あくまでも両親がともに育児休業を取得した場合に「取得できる期間」が延長できるという制度です。したがって、育児休業を取得できる日数自体が増えるわけではなく、取得日数は産後休業を含めた「1年間」である点に注意が必要です。具体的には、ママの場合は出生日・産後休業・育児休業期間を合計して1年間、パパの場合は出生日より1年間になります。
パパ休暇は、後ほど解説をする「産後パパ育休」へと制度が変わるため廃止されていますが、改正前の制度として説明をします。
パパ休暇とは、父親が産後8週間以内に育児休業を取得した場合は、特段の事情がなくても後ほど再度育児休業を取得することができるという制度です。
前述の通り、母親の場合は子が生まれた後の産後8週間は、産後休業という休業に入り、その後に育児休業を取得する形を取ります。一方、父親の場合は産後休業という制度がないため、母親が産後休業を取得する産後8週間の期間も育児休業の取得対象期間となります。パパ休暇は、産後直後で母親が慌ただしい期間に父親が一時的に育児休業を取得し、その後改めて育児休業を再度取得することができるように設けられた制度になります。
ここまでの説明で、育児休業制度の基本的な内容についてお分かりいただけましたでしょうか?
昨今は、育児休業の取得を検討する男性社員も増加していることから、これまで以上に取得から職場復帰までの制度を整えておく必要があります。
職場内でのルール化や社内体制の整備方法などについて詳しく知りたい場合は、ぜひ労務管理の専門家である当社へご相談ください。
中編の記事はこちら
2022年施行の「改正育児休業法」とは?ポイントや対応法を解説【中編】
後編の記事はこちら
2022年施行の「改正育児休業法」とは?ポイントや対応法を解説【後編】
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