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    カスタマーハラスメントに備えるべき対策とは?クレームとの違いも解説

    パワハラ

    質問:
    最近、「カスハラ(カスタマーハラスメント)」という言葉を耳にすることが増えました。
    カスタマーハラスメントが顧客からの迷惑行為を指すことは理解しているものの、通常のクレームと何が違うのか、また、企業としてどのような対策を講じるべきかが分かりません。

     
    回答:
    カスタマーハラスメントとは? クレームとの違い
    【カスタマーハラスメント(カスハラ)】とは、顧客の攻撃的な言動や行動によって、従業員が精神的・身体的な苦痛を受けることを指します。
    例えば以下のようなケースです。
     
    ・侮辱的な発言(暴言や人格を否定するような言葉)
    ・過度な要求(法的・契約上の義務を超えた対応を執拗に求める)
    ・暴力的な脅迫や威圧(大声で怒鳴る、物を投げる、暴力を振るう)
     
    カスタマーハラスメントを受けることにより、従業員の健康やウェルビーイングに大きな影響を与える可能性があります。
    そのため、企業は従業員を保護するための対策を講じることが重要です。
     
    本記事では、カスタマーハラスメントの定義、その内容及び、企業の対策について詳しく解説します。
     
     

    この記事の目次

    カスタマーハラスメントとは?

    カスタマーハラスメントの定義

    カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)とは、顧客や取引先が従業員に対して行う不適切な言動や過度な要求のことを指します。
    単なるクレームとは異なり、以下のような要素を満たす場合にカスハラと判断されます。
     
     

    カスハラと判断される3つの要素

    要求の内容の妥当性:
    顧客の要求が法的・契約上の範囲を超えている。
    例:通常の返品・交換対応の範囲を超え、過度な補償を求める。
     
    要求の手段や態度が不当:
    顧客が暴言・脅迫・暴力・長時間の拘束など、社会通念上許容されない方法で要求する。
    例:「責任者を今すぐ呼べ!」と怒鳴り、従業員を執拗に責める。
     
    従業員の就業環境を害する:
    その行為によって、従業員が精神的・身体的な苦痛を受ける。
    例:過度なプレッシャーや恐怖を感じ、業務に支障が出る

    正当なクレームとの違い

    顧客の要求が正当かどうかではなく、その伝え方や行動が社会的に許容される範囲を超えていないかが、カスハラとクレームを分ける重要なポイントです。
     
    正当なクレームの例:
    「購入した商品に不備があったため、交換を求める」
    → 合理的な要求であり、適切な対応が可能。
     
    カスハラに該当する例:
    「交換を求める際に、従業員を何時間も拘束し、暴言を吐く」
    → 要求の手段が不適切で、従業員に過度な負担を与える行為

    カスタマーハラスメントの事例

    カスハラは、業界や業種を問わず発生する可能性があります。
    以下は具体的な事例です。
     

    1.暴言・人格否定

    事例:飲食店で提供された料理に不満を持った顧客が、店員に対して「バカ」「使えない」などの暴言を繰り返し浴びせた。
    問題点:
    •言葉による攻撃が従業員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼす
    •顧客対応に支障をきたし、他の顧客への対応が遅れる
     

    2.長時間の拘束

    事例:家電量販店で、返品を受け付けてもらえなかった顧客が「納得いくまで説明しろ」と要求し、店員を4時間以上拘束した。
    問題点:
    •過剰な拘束が業務の妨げになる
    •他の顧客対応ができなくなり、店舗の運営に支障をきたす
     

    3.過度な要求

    事例:ホテルの宿泊客が「部屋の景色が気に入らない」とクレームを入れ、無料でスイートルームに変更するよう要求した。
    問題点:
    •契約内容を無視した不適切な要求
    •他の顧客との公平性が損なわれる
     

    4.身体的な暴力

    事例:コンビニのレジで会計ミスが発生した際、客が店員を突き飛ばして怪我をさせた。
    問題点:
    •明確な犯罪行為であり、従業員の安全を脅かす
    •企業が適切に対応しないと、従業員の離職率が上昇
     

    カスタマーハラスメントを放置するデメリット

    カスタマーハラスメントを放置する3つのデメリットです。
     

    1.従業員のメンタルヘルスの悪化

    カスハラを受けた従業員は、強いストレスや不安を抱え、うつ症状を発症するリスクが高まります。
    さらにこうした環境が常態化すると、職場全体の士気が低下し、従業員の離職率が上昇する可能性があります。
     
    リスクの例:
    ・カスハラを受けることで精神的な負担が蓄積し、長期休職や退職につながる
    ・「自分は会社に守られていない」と感じる従業員が増え、職場のモチベーションが低下
     

    2.企業の評判の悪化

    カスハラ対策を怠る企業は、「従業員を守らない会社」という悪い印象を持たれやすくなります。 このような評判は、SNSや口コミを通じて広がり、企業のブランドイメージや顧客の信頼を損なう要因となります。
     
    リスクの例:
    ・「従業員を酷使する企業」として悪評が広がる
    ・労働環境が悪いという理由で、求職者や優秀な人材の応募が減る
     

    3.経営リスクの増加

    カスハラを放置した結果、従業員が精神的な疾患を発症し、労災認定や訴訟に発展するケースもあります。
    経済的損失や信頼の低下につながる可能性もあります。
     
    リスクの例:
    ・労働基準監督署が調査に入り、企業が適切な労働環境を提供していないと判断される
    ・カスハラを放置したことが原因で、従業員から訴訟を起こされる
     

    カスタマーハラスメントに対する企業の5つの対策

    カスハラから従業員を守るためには、企業が明確な方針を持ち、具体的な対策を実施することが不可欠です。
    以下の5つの対策を講じることで、従業員の安心感を高め、企業のリスクを軽減できます。

     

    1.明確な方針の策定と社内外への周知

    企業は「カスタマーハラスメント対策方針」を策定し、社内の従業員だけでなく、顧客にも明確に伝えることが重要です。
    企業としてのスタンスを示すことで、従業員が対応に迷わず行動できる環境を整えましょう。
     
    具体例:
    ・就業規則や社内マニュアルにカスハラ対策を明記
    ・店舗やWebサイトに「不当な要求・ハラスメントには対応しません」と掲示
    ・社員がカスハラを受けた際の対応フローを明確化
     

    2.相談窓口の設置と迅速な対応

    カスハラ被害を受けた従業員が、すぐに相談できる窓口を設置し、上司や専門部署が迅速に対応できる体制を整えましょう。
    「相談しても何も変わらない」という状況を防ぎ、従業員の信頼を確保することが大切です。
     
    具体例:
    ・ハラスメント相談窓口を設置し、従業員が安心して相談できる環境を作る
    ・相談後、企業としての対応を迅速に行い、従業員の負担を軽減する
     

    3.従業員への研修とマニュアルの整備

    従業員がカスハラに遭遇した際、どのように対応すればよいのかを学ぶ研修を実施することで、不安を軽減できます。
    また、カスハラの定義を学び、正当なクレームかどうかを見分ける教育も必要です。
     
    具体例:
    ・カスハラを受けた際の適切な対処法(冷静な対応、エスカレーションの手順など)を教育する
    ・企業として統一した対応を取れるように、マニュアルを整備する
     

    4.記録の徹底と証拠の確保

    カスハラ事案が発生した場合、対応の詳細を記録し、必要に応じて録音や映像データを保存することが重要です。
     
    具体例:
    ・被害の詳細を記録し、再発防止に活かす
    ・証拠を残しておくことで、万が一の訴訟時に企業を守る材料となる
    ・証拠を適切に管理し、企業が従業員を守る姿勢を明確に示す
     

    5.外部機関との連携

    カスハラが悪質な場合、企業だけでの対応が難しくなることがあります。
    警察や弁護士、社労士に相談することも選択肢の一つです。
     
    具体例:
    ・暴力行為や脅迫が発生した場合、警察に通報する体制を整える
    ・法的な対応が必要な場合、専門家に相談し、適切な対応を取る
    ・企業だけで抱え込まず、専門機関との協力体制を構築しておく
     

    企業のカスタマーハラスメント対策フロー

    カスハラ対策は企業の責任として継続的に取り組むべき課題です。
    企業がカスハラ対策を策定し、実施する際の基本的なフローを紹介します。

     

    【ステップ1】カスハラ対策の方針を策定する

    •カスハラの定義を明確化(企業のガイドラインを作成)
    •対応方針を社内外に公表
    •従業員向けの研修を実施
     

    【ステップ2】予防策を講じる

    •顧客への対応ルールの明確化
    •研修やマニュアル整備
    •トラブル時の報告体制を構築
     

    【ステップ1】カスハラ対策の方針を策定する

    •カスハラの定義を明確化(企業のガイドラインを作成)
    •対応方針を社内外に公表
    •従業員向けの研修を実施
     

    【ステップ3】カスハラが発生した際の対応

    •従業員からの報告を迅速に受け付ける
    •録音や記録を活用し、正確に状況を把握
    •場合によっては弁護士や警察と連携
     

    【ステップ4】事後対応と再発防止策の検討

    •カスハラ被害を受けた従業員のフォロー
    •再発防止策の検討
    •社内教育のアップデート
     

    カスハラ対策は専門家と連携がおすすめ

    カスハラ対策は企業の責任

    カスタマーハラスメント(カスハラ)は、企業の従業員にとって深刻な問題であり、その対策は企業の責任です。
    労務や法律の専門家と連携し、本記事で紹介したカスハラ対策の基本フローを参考にしながら、企業としての対策強化、そして従業員を守る環境を整えましょう。
     
    対応を誤ると、従業員のメンタルヘルスの悪化や離職率の上昇、企業の評判低下、さらには訴訟リスクの増加といった重大な影響を及ぼす可能性があります。
    そのため、企業は明確な方針を持ち、従業員を守る環境を整えることが不可欠なのです。

    カスハラ対応を専門家に相談すべき理由

    【理由1】法的に問題のある対応をしてしまう可能性がある

    ・従業員を守るために強い対応をとったつもりが、逆に顧客とのトラブルを悪化させてしまうケースも。
    ・対応ミスが原因で、企業側が訴えられるリスクも考えられる。
     

    【理由2】就業規則や社内ルールが不十分だと、従業員を守りきれない

    ・「どこまでをカスハラとするか」「従業員はどのように対応すべきか」など、明確な基準がないと、現場が混乱する。
    ・就業規則や社内規程にカスハラ対策を盛り込むことで、法的根拠を持った運用が可能になる。
     

    【理由3】トラブル発生時、迅速に適切な対応をとるために専門的な知識が必要

    ・弁護士や警察と連携が必要なケースもあるため、事前に対応フローを決めておくべき。
    ・適切なエスカレーションルート(報告の流れ)を構築し、従業員がすぐに相談できる仕組みを作ることが重要。
     
    このように、カスハラ問題は企業単独での対応では不十分な場合が多く、労務や法務の専門家と連携することが最も安全かつ効果的です。
    社労士法人・行政書士法人アーチスでは、カスハラ対策方針の策定や就業規則への落とし込み、社内対応マニュアルの作成など、企業の実情に合わせたサポートを行っています。
     
    ■オンライン相談対応!全国どこでもサポート可能
    ■企業の実態に合わせたオーダーメイドの対策を提案
    ■カスハラ発生時の対応アドバイスや、社内研修の実施も可能
     
    「カスハラ対策をどう進めればいいかわからない」
    「就業規則にどのように反映すればいいのか知りたい」
    という企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください!



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