今回は、倒産に伴う従業員への対応についてがテーマです。
「会社の倒産に伴う従業員の退職は解雇になりますか?」
「解雇を行う際のルールはありますか?」
といったご質問に、社労士法人・行政書士法人アーチス(神奈川県から全国対応)がお答えしていきます。
この記事の目次
結論としては、会社の倒産に伴う退職は、労働契約を会社側が一方的に解除する「解雇」に該当します。
正社員やパートタイマー、アルバイトを問わず、会社が消滅してしまうという理由からです。
ここで退職の形について一度確認しておきましょう。
以下の3つが代表的な形です。
①自己都合退職
会社と従業員が締結している労働契約を労働者側が一方的に解除すること
②解雇
会社と従業員が締結している労働契約を会社側が一方的に解除すること
③期間満了
有期の労働契約の期間が満了すること
解雇を行うには労働基準法にルールの記載がありますので、今回そのルールを一緒に見ていきましょう。
解雇予告とは解雇を従業員に通知することをいいます。
解雇に踏み切る理由はさまざまですが、そのひとつに、事業の継続が難しくなって会社が倒産する場合があります。会社が消滅するわけですから、会社をたたむ手続きと同時に、雇用している従業員に対しては、「解雇予告」を行う必要があります。
会社の倒産は、経営者はもちろん従業員にとっても重大事件です。
倒産までに再就職の準備を行う期間を設ける必要があります。
従業員保護の観点から労働基準法では、従業員が急に解雇を告げられ、生活に困窮しないよう、「少なくとも30日前に解雇の予告をする」と定めているのです。
たとえば、7月31日付けで解雇する場合には、最低でも7月1日には解雇予告を行わなくてはいけません。
Memo:日数計算に注意!!
解雇予告を行った日は、予告日数である30日には算入しないので注意が必要です。
「予告した日の翌日からカウントする」と覚えてください。
※保解雇予告は、口頭で行うことも可能ですが、予告したことを後からでも証明できるように、「解雇通知書」や「解雇予告通知書」の交付をおすすめします。
解雇通知書とは、雇用契約を解除することを記した書類です。解雇日や対象者の名前のほか、従業員の求めに応じて、使用期間や解雇事由なども記載します。
この通知書は、従業員が失業保険の支給を受ける際に、解雇されたことを証明する書類にもなります。
解雇予告を行った日から解雇日までの間に用意しましょう。
もし、解雇予告を行ってから解雇日までの日数が 30日に満たない場合、会社側は、従業員に対して不足している日数分の平均賃金を支払う必要があります。
この賃金のことを「解雇予告手当」と呼びます。
たとえば、解雇日の10日前に解雇予告を行った場合は、30日-10日=20日分の解雇予告手当を支払うことになります。
万が一、解雇予告を行わず、即日解雇する場合は、30日分以上の解雇予告手当を支払わなくてはなりません。
解雇予告手当の支払いは、解雇の日までに行う必要があります。
会社の財務状況によっては、賃金の未払いが発生しているケースもあるでしょう。
もし、未払いの給与と解雇予告手当のどちらかしか支払えないのであれば、解雇予告手当を優先して支払いましょう。
未払いの給与に関しては、「未払賃金立替払制度」 も利用可能な場合があります。
いくつかの条件を満たせば、全国の労働基準監督署および独立行政法人労働者健康安全機構が、事業者の代わりに未払い賃金の一部(8割程度)を立て替えてくれる制度です。
ぜひ専門家である社労士事務所にご相談ください。
ちなみに、財政難や税金の滞納処分を受けての倒産ではなく、火災や地震で事業所が消失したなど、やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となる場合もあるでしょう。
その場合は、労働基準監督署長 から「解雇予告除外認定」を受けることで、解雇予告をせずに従業員を解雇することが可能となります。
Memo:会社に損害を与えた従業員にも解雇予告は必要?
解雇予告除外認定は、労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合も使用することができます。
労働者の責めに帰すべき事由とは「重大又は悪質なもの」と労働基準法に記載があります。
例えば、横領、傷害等刑事犯、事業場の名誉もしくは信用を喪失させるもの、社内での賭博、風紀を乱すもの、採用条件の要素となるような経歴の詐称などがあります。
解雇予告手当の計算方法についてもご紹介します。
平均賃金を算出するのですが、計算方法は2タイプあり、金額が高い方を採用します。
計算1.直前3か月に支払われた賃金総額÷3か月の総歴日数
計算2.直前3か月に支払われた賃金総額÷3か月の総出勤日数×60%
【時給者】
末締め→翌15日支給
7月31日解雇だが、解雇予告は10日前(7月21日に予告)
【直前3か月の賃金総額】
4月: 歴日数30日 出勤15日 130,000円
5月: 歴日数31日 出勤16日 139,000円
6月: 歴日数30日 出勤15日 130,000円
計算1
(130,000円(4月)+ 139,000円(5月)+130,000円(6月))÷(30日(4月)+ 31日(5月)+ 30日(6月))
= 4384.61円
計算2
(130,000円(4月)+ 139,000円(5月)+130,000円(6月))÷(15日(4月)+ 16日(5月)+ 15日(6月))
×60% = 5204.34円
計算1と計算2を比較して金額が高い方を採用するため。上記の場合、計算2(5204.34円)を採用します。
20日分の解雇予告手当の支給が必要ですので、
5204.34円×20日 = 10万4087円の支給が必要となります。
いかがでしたでしょうか?
一口に解雇と言っても、労働基準法をよく知っておかないと大変なことになる可能性もあります。
経営者様が事業に集中していだけるよう、雇用に関わるお手続きやご相談は専門家である社労士法人アーチスが承ります。
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